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第92話  約束の夕方

مؤلف: 菊池まりな
last update تاريخ النشر: 2026-08-17 19:00:08

金曜の夕方。

 昼の会議を終えたオフィスには、ようやく一息ついた空気が流れていた。

 デスクを整えて帰り支度をしていると、朱里のスマホが軽く震える。

 画面には短いメッセージ──。

> 『会議終わった? このあと、少しだけ時間もらえる?』

 差出人は、平田嵩。

 たった一文なのに、胸の奥が少しだけ跳ねた。

「少しだけ……って、どのくらいなんだろ」

 独り言のように呟いて、朱里は深呼吸をした。

 鏡代わりのパソコン画面に映る自分の顔を見て、慌ててリップを塗り直す。

 職場を出ると、夕方の風が少し冷たくて、心のざわめきを落ち着かせるにはちょうどよかった。

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